こんにちは、らんべるアセットの八木です。
長岡市には毎年8月2日、3日と全国的にも有名な花火大会があります。
例年、県外からも多くの方が来ていただいています。
長岡市の人口は27万人なのですが、この2日間だけは市の人口が3倍になるんですね。
私も今年は東京から友人夫婦が2組遊びに来てくれるので、今から楽しみです。
さて、今回はアパートをボロボロのまま放置してしまうことのリスクについてお話させていただきます。
わかりやすい事例として、アパートオーナーの堀川さん(仮名)と、同じくアパートオーナーの山本さん(仮名)に登場していただきましょう。
事例
堀川さんの場合
- 今から30年前に地方都市で木造アパートを4,000万円で新築
- 新築にあたって地元の信用金庫から3,000万円を借り、10年前に完済
- アパートの管理は、新築時から付き合いのある不動産屋に任せている
- 新築時は満室経営が続いていましたが、今は入居率50%(10戸中5戸)
- 5戸の空室はここ5年間はずっと空きになっている
管理を任せている不動産屋からは、
と言われています。
堀川さんは、
と思っています。
数年後、不幸なことに堀川さんはガンで亡くなってしまいました。
法定相続人である奥さんや3人のお子さんは、堀川さんがアパート経営をしていたことは知っていましたが、アパート経営の中身については何も知りません。
3人のお子さんはいずれも東京で家庭を持っており、長岡市のアパート経営を引き継ぐことも困難だったため、アパートを売却することにしました。
奥さんはアパート管理を任せている不動産屋を知っていたため、その不動産屋にアパートの売却を依頼。
2年の間に2戸の退去が発生しており、その時点でアパートの入居率は30%(10戸中3戸)になっていました。
建物はボロボロで入居率も低いため評価されず、土地代(900万円)から解体費用(200万円)を差し引いた金額である700万円で売却が決まりました。
それでも法定相続人は、何とか現金化できたのでホッと胸をなでおろしました。
山本さんの場合
- 今から30年前に地方都市で木造アパートを4,000万円で新築
- 新築にあたって地元の信用金庫から3,000万円を借り、10年前に完済
- アパートの管理は当初、堀川さんと同じ不動産屋に任せていたが、空室が目立ち始めてきた15年前に管理会社を変えた
- 家賃設定やリフォーム内容などを管理会社に相談しつつ、山本さん自身も管理会社と一緒になってアパート経営に取り組んでいる
- そのおかげで常時満室を維持しており、空室が出ても数ヶ月以内には次の入居者が決まる状況
数年後、残念ながら山本さんは持病の発作で亡くなってしまいました。
堀川さんのケースと同じように、法定相続人である奥さんや3人のお子さんは、山本さんがアパート経営をしていたことは知っていましたが、アパート経営の中身については何も知りません。
そして同じように、3人のお子さんは上京してそれぞれ家庭があったため、売却の流れになりました。
奥さんは今の管理会社である不動産屋に売却を依頼。
管理会社は保有も含めていろいろな選択肢を提案してくれましたが、最終的に売却することになりました。
山本さんのアパートは全10戸。
家賃単価は3.5万円で満室を維持していたため、毎月3.5万円*10戸=35万円の家賃収入がありました。
年間家賃収入は35万円*12ヶ月=420万円です。
表面利回り16%である2,600万円で買いたいという不動産投資家が現れ、成約となりました。
法定相続人は、財産を残してくれた山本さんとそれを支えてくれた管理会社にとても感謝していました。
2つの事例を比べてみると…
2つの事例をご紹介しましたが、いかがでしたか?
堀川さんも山本さんも、おかれた環境はかなり似ています。
アパートの規模はどちらも10戸ですし、土地の値段はどちらも1,000万円前後です。
それでも最終的な売却価格には差が出ました。
堀川さんの物件の売却価格: 700万円
山本さんの物件の売却価格:2,600万円
売却価格差額:1,900万円
しかも、です。
堀川さんの物件は保有期間中、空室部分については賃料が発生していません!(当たり前ですね。)
それに対して山本さんの物件はほぼ満室を維持していました。
堀川さんがどれだけ損をしているかというと、
5戸*3.5万円*60ヶ月(5年間)=1,050万円
7戸*3.5万円*24ヶ月(2年間)= 588万円
機会損失合計:1,638万円
単純計算ですが、7年間で約1,600万円をドブに捨てている計算になります。
ものすごい金額ですね。
売却価格差額と機会損失合計を足し合わせると、
堀川さんは、
山本さんと比べて3,538万円も損をしている
ということになります。
衝撃ですね!
この2人のケースが特殊なのでは?と思われるかもしれませんが、不動産業界にいると似たようなケースを割と頻繁に見ます。
決して特殊なケースを取り上げたわけではないのです。
それでは何が2人の命運を分けたのでしょうか?
アパートをボロボロのまま放置するとこうなります!
2人の命運を分けたのはズバリ、「空室に対する危機感」です。
堀川さんが空室をそのまま放置したのに対し、山本さんは長期化する空室に危機感を感じ、アパート経営のパートナーとなり得る管理会社を探して一緒になってアパート経営に取り組みました。
その結果、2人の間には約3,500万円もの差が生まれてしまいました。
でも、私は堀川さんの気持ちもよく分かるのです。
20年間もかけてせっかく残債がなくなったのに、また新たに投資なんてしたくない!という気持ちは理解できますよね。
それでも、空室を放置してしまうのはやっぱり悪手なんです。
そして、これまでも多くの方々がその悪手を犯してしまいました。
なぜ多くの方々が悪手を犯してしまうのか?
最も大きな理由は「今は困っていない」からです。
人間誰しも、今困っていないことは「何となく良くないんだろうなぁー」と思っていたとしても先延ばしにしがちです。
そのままにしておくと、将来どんな規模で何が起こるかを具体的にイメージできないので今の行動に繋がらない。
逆にそのイメージが具体的にできれば、「今、行動しなければならない」ということがわかります。
何が起こるかをもう一度整理してみましょう。
長期空室が複数あるアパートをそのままにすると、こうなります!
- 売却時に安く買い叩かれる
- 相続等での予期しない売却時にはさらに安く買い叩かれる
- 機会損失が積み上がっていく
- 空室が多いことそのものが空室をさらに多くする
1.売却時に安く買い叩かれる
ボロボロの物件、特に長期空室が複数ある物件は売却時に買い叩かれます。
買主さんの立場で考えれば、物件がボロボロであることや長期空室が複数あることがリスクになるわけですから、当然その分は値引いてもらわないと採算が合わないわけです。
「買い叩く」と言う表現は語弊があるかもしれませんが、そういう難易度の高くてリスクのある物件は一般投資家がなかなか手を出せません。
技術的に難しい面がありますし、不測の事態に備えるための資力が必要ですし、そもそも融資を付けるのが難しいからです。
買えるプレイヤーが限られるため、当然に価格は落ちていくわけですね。
2.相続等での予期しない売却時にはさらに安く買い叩かれる
新築されてからずっと所有されているアパートだと「売る」ということはそもそも想定していないかもしれません。
しかし、特に問題になるのは、万が一あなたが亡くなって相続が発生したときです。
法定相続人は大抵の場合、アパート経営の「ア」の字も知りません。
知識のない方はカモにされてしまう可能性がありますし、実務は専門家に任せるとしても適切な意思決定はなかなか難しいでしょう。
それがボロボロで長期空室が複数ある難しい物件ならなおのことです。
騙すような商売をする業者ばかりではないと信じたいですが、相続案件は安く売らされてしまう傾向があります。
3.機会損失が積み上がっていく
事例でもみたように、空室は積み重なると非常に大きな機会損失になります。
アパートの部屋という「箱」は貸さないと1円も生みませんが、それを作るのにかかったお金や維持するのにかかったお金は「貸す貸さない」に関わらず発生してくるのです。
不動産賃貸業を営む人間にとって、入居率(稼働率)の向上は最も重要な課題といっても過言ではありません。
4.空室が多いことそのものが空室をさらに多くする
不思議なことに、空室はさらなる空室を生みます。
人というのは「限定品」に弱いのです。
希少性がさらに商品としての価値を高めるのです。
あなたが部屋を探していたとして、空きのいっぱいあるアパートって何か嫌じゃないですか?
「人気ないってことは、それなりの理由があるのかなぁー」と勘ぐってみたり。
それよりも、普段満室だけどたまたまタイミングよく空きが出た部屋を選びたくないですか?
何の問題もない物件だったとしても、空室が多いこと自体が入居付けのハードルを上げてしまうのです。
さいごに
今は困っていなかったとしても、空室は放っておくべきではないことがご理解いただけたでしょうか。
よく築年数を言い訳にしている方がいらっしゃいますが、これは築古物件だったとしても例外ではありません。
空室を減らすために、具体的に何をすれば良いかはこれからこのコラムで書いていく予定です。
所有物件が新潟県の長岡市、見附市、三条市、燕市であれば当社がお力になりますのでご相談ください。