事業としての不動産投資のすすめ
築古アパート・マンションの満室経営が地方都市を救う!
理念・考え方

雇用に関する規制が厳しくなればなるほど、皮肉にも会社は働きにくい場所になっていく件

こんにちは!
らんべるアセットの八木です。

8月3日は長岡花火の最終日だったのですが、ありがたいことに友人夫婦2組が東京から長岡に来てくれました。
2組とも長岡花火を観覧するのは初めてとのことで、

「圧巻だった」

「これ観ちゃうと都内で花火とか観れないわ!」

との声をいただき、長岡市民として誇らしい気持ちになりました。
(花火に関して私は何もしてないですけどね。笑)

今回遊びに来てくれた夫婦のうちの1組は、プロフィール記事でも登場した、私が非常にお世話になっているオーナー社長のHさん夫婦です。
Hさんは現在も東京都内でドトールコーヒーやしゃぶしゃぶ温野菜などの飲食店を経営されています。

花火を観てからみんなで家に帰ってきて夜3時半くらいまで飲み明かしたのですが、そのときに出た話と私が感じたことを書いてみます。

雇用に関する規制が厳しくなればなるほど、皮肉にも会社は働きにくい場所になっていく

総論としてはこれです。

働き方改革を始めとする「労働者」の権利をより強くする一連の流れや雇用規制強化は、日本を良くする方向に繋がっていないよね、ということ。
結果として、皮肉にも労働者の首を締める結果になってしまっているの思うのです。

モンスター社員に振り回される経営者層

私が仲良くしていただいている経営者でも、従業員から訴えられたという話を頻繁に耳にするようになりました。
今回遊びに来てくれたHさんも訴えられたことがあるそうです。

これはどうしても私の主観が入ってしまいますが、彼らは世間一般が想定するようなブラック企業の社長ではありません。
私からすれば尊敬できる、非常に優秀な経営者の方々です。

それでも従業員に訴えられてしまう。
あるいは、訴えられるまではしなくても一部の問題社員に異様に振り回されてしまう。

今は昔に比べて労働者の権利が強いので、経営者はきちんと法的に対処しないとすぐに墓穴を掘りますし、きちんと対処したとしても、そこにはしっかりとコストがかかってきます。

もしも悪意がある「モンスター社員」だったとしても、雇用の規制が厳しい日本ではそう簡単に解雇できません。
徹底抗戦するよりも、多額の補償金を払って「辞めていただく」ことが経済的合理性にかなっていることもあります。

例えば、うつ病の診断書なんて本気で手に入れようとすれば健常者でも手に入ってしまうわけですよ。
それを用いて休職して、会社から搾り取ってやろうという悪意がある社員も世の中にはいるでしょう。
というか、「自分のことしか考えない」ならば、それはある意味合理的手段と言えます。

その悪意に対して、会社が自衛できる手段は現状ないのです。
その「悪意」のコストを払わされているのは、善良な会社(株主)であり、経営者であり、そこで働く他の社員なのです。

人手不足の本質

世間では人手不足だと言われています。
将来的には移民の受け入れもせざるを得ない、とも。

いやいや、もっと働いて稼ぎたい人は大勢いると思うんですよ。

でも何故か日本の税制はそれをさせない。
いわゆる103万、106万、130万、150万円の壁が存在することで学生や主婦がシフトを減らすのはもはや見慣れた光景ですよね。

あるいは、これはHさんから聞いた話ですが、団塊の世代で家計がギリギリのところで暮らしている方を雇用しようとすると、これまで社会保険を払ってきていないことがよくあるそうです。

会社としては社会保険に入れないとコンプライアンス的にアウトなので、入れざるを得ない。
でもそうすると、手取りが減る。
そうなってしまうと将来困るとか以前に、今、生活できないのです。
結果、需給はマッチしているのに雇用できない状況が発生します。
Hさんは「その理由で雇用できなかったことが何度もある」とおっしゃっていました。

あとは、いわゆる働き方改革で残業が「減らされてしまった」方々。
私の前々職のSIerでは、基本給が安かったので残業代のインパクトがかなりのものでした。
毎日定時に帰っていては、手取りで18万円を切ってくるのです。(入社2年目くらいの話)
今は「早く帰れ」と言われる時代なので、もっと稼ぎたいのに稼げない方も大勢いると思われます。

これらに目をつぶって、人手不足だ!って何かアホっぽくないですか?
規制に縛られているだけで、「もっと働きたい人」は絶対にいるんですよ。

これってすごい機会損失なのでは?

これらの世の中の流れの中で、Hさんはあえて事業を縮小する選択をしました。

Hさんは長年店舗経営をしていたので人を育てるのは得意ジャンルなのですが、「今の日本で雇用するメリットはほとんどない」だそうです。

自分の目の届く範囲で事業を残しつつ、自身の好きな相場で食っていくそうです。
(もともと株で儲けたお金でフランチャイズ店を買ってきたので)

無理もないよなぁーと思うんです。
私も経営者の端くれですが、今の日本で雇用するリスクは大きすぎて躊躇しますもん。
できれば設備投資やアウトソーシングでいけるところまでいきたいですもん。

うちみたいな零細企業はともかく、オーナー社長くらいの中小企業の社長にこういう選択をさせてしまう日本ってヤバいよな、って思うんです。

本来であれば組織を引っ張っていくべき人間を、日本は失っている。
こういう選択をしている経営者は他にもきっといっぱいいると思います。

「逃げる」という選択肢を取れる社会を目指すべき

会社としてサービス残業をさせるのは法律違反だし、労働基準法は守るべきですよ。
それはもう大前提としてある。

だから、労基法が形骸化していた今までの方が良かったなんてことを言うつもりは毛頭ありません。
ルールがある以上、それを守るのは会社経営者として当然です。

その上で、そういう前提がある上で、我々はどういう社会を目指すべきなんでしょうね?

労基法を始め、雇用に関する規制が理想論すぎるってのはあると思うんですよね。
最低賃金上げろみたいな議論もありますけど、そんなことしたら当然に雇用者数は落ちるわけです。
恩恵を受ける人ももちろんいるでしょうが、全体として幸せにはなれない。

それよりも、やっぱり雇用市場の流動性を上げていくべきだと思うんですよね。
規制でがんじがらめにして既存の労働者を守るという方向は私は間違っていると思います。
これは私が経営者側だから、ではなくて労働者側から見てもです。

雇用市場の流動性が高ければ、転職しやすい=「逃げる」という選択肢が取りやすいのですよね。
それが選択肢としてあるだけで、実際には行使しなくてもやっぱり心は楽になれると思います。
過労死も防げるでしょうし、ブラック企業も自然消滅するでしょう。
日本は「逃げられる」社会を目指していくべきだと私は思います。

がむしゃらに働いて稼ぎたい時期にはそういう企業に行けばいいし、ほどほどでワークライフバランスを充実させたい時期ならそういう企業に転職すれば良い。

優秀な経営者が優秀な仲間を率いて日本を引っ張っていける体制を作らないと、日本に未来はない。
日本が今進めている規制がんじがらめの方向性は、マジで危ないと思います。