少なくとも同じ宅建業者ではあるわけだし。宅建業法に違反するようなことはできないでしょ?
賃貸管理業者って無免許でもできるの??
こんにちは!
らんべるアセットの八木です。
今、このエントリー書きながらめっちゃ腹減ってます。
本当はこのまま私が独断と偏見で選んだ飲食店ランキングを始めてしまいたいところですが、それは今度勝手にやります。笑
さて、今回は賃貸管理業務の全体像について解説していきますね。
その前に、そもそも「管理会社」ってなんだっけ?
不動産業界に詳しくないと、「管理会社」って
マンションの管理組合が委託してるアレのこと??
ってなりますよね。
私も、もともとはIT関係の仕事をしていたため、不動産投資を始めたときには混乱しました。笑
アパートオーナーが1棟の管理を任せる「賃貸管理業者」とマンション区分所有者の集まりである管理組合が管理を任せる「マンション管理業者」は実はまったく別モノです。
収益物件オーナー→「賃貸管理業者」に管理を任せる
マンション区分所有者→「マンション管理業者」に管理を任せる
マンション管理業者は国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録が必要なのに対して、賃貸管理業者には何の規制もありません。
賃貸管理業は不動産屋がやっているイメージがありますが、実は賃貸管理業のみを営むのであれば宅建免許さえ必要ないのです。
何のために「賃貸管理」するの?
まずは目的から確認しましょうか。
我々は「賃貸管理」することで何を達成したいのでしょうね?
- 稼働率(入居率)を上げたいから
- 入居者さんに長く住んでもらいたいから
- 家賃をきちんと回収したいから
- オーナーとしての収益を最大化したいから
- 計画的に修繕していくことで物件を長持ちさせたいから
視点はそれぞれ異なりますが、全て正解です。
当社では、賃貸管理の目的をこのように定義しています。
「オーナー様の所有物件の資産価値を維持・向上させるため」
そして、オーナー様にとって最善の賃貸管理をおこなうためには、そのオーナー様の不動産投資そのものの「目的」の把握が不可欠です。
オーナー様がどのような目的をお持ちで、その手段としてどのような手法で不動産投資をされているのかを把握しなければ、最善の賃貸管理をおこなえるはずがありません。
なぜなら、賃貸管理はあくまで不動産投資そのものの目的を達成するための「手段」だからです。
たとえば、売却益目的での保有で数年以内に売却したいのであれば賃料をなるべく下げないような提案をする必要がありますし、賃料収入目的で保有前提であれば賃料を相場に合わせて稼働率を最大化する提案をするべきでしょう。
盲目的に稼働率を上げることだけが、最善の賃貸管理ではないのです。
「賃貸管理」という施策を検討する以前に、その上のレベルにある不動産投資そのものの目的、それを達成するための手法をいま一度確認してみましょう。
フェーズ別に賃貸管理の業務をみてみよう
まずは、ある一つの部屋に注目してみたときに、入居者様の入退去に応じてこのようなフェーズで分けてみていきましょう。
具体的な業務は管理業者さんによっても異なるので、以下はあくまで当社の場合です。
1.解約申込~退去
解約申込の受付け
- 解約申込が入居者様より電話にて入ります
- 解約申込書を郵送します
- 入居者様からの返送を追います
- 退去立会い日の調整を行います
解約申込を受付けた際には、必ず解約理由をヒアリングします。
入居者様由来の「防げない解約」なのか、物件由来の「防げる解約」なのかを把握することは非常に大切です。
今後の賃貸管理に活かすことはもちろん、改善を約束したり条件を緩和することで、場合によっては目の前の解約を防ぐことができるかもしれません。
退去立会い
- 当然ですが、約束の時間の5分前には到着しているようにします
- 室内をチェックし、賃貸借契約書の内容に基づいて退去精算をおこないます
- 当社では入居時にクリーニング費用をいただいているため、入居者様が通常使用していれば追加で費用発生しません
- 入居者様の故意過失による修繕必要箇所がある場合には、その箇所については故意過失であることの覚書を取得します
- 後日、入居者様に請求書を送付します
- 預かったカギは物件に設置してあるキーボックスに入れておきます
- 電力会社と契約を開始します
解約精算は入居者さんと最もトラブルになりやすい業務です。
なぜ揉めるのかと言えば、「入居者 vs 退去立会い者」の構図になってしまいがちだからです。
あくまで契約内容を優先しつつも、入居者さん側に立って問題解決を図りましょう。
説明が論理的であることはもちろんですが、入居者さんが感情的に納得いただきやすい空気を作るのも退去立会い者の大切な仕事です。
たとえば、入居者保険が適用できないか確認したり、修繕工事のやり方を工夫する姿勢をみせて、入居者さんの支払いを少しでも減らす努力を見せると感情的にご納得いただきやすくなります。
このように感情が大切な業務のため、遅刻は厳禁です。
待たされたという事実は、入居者さんの感情に多分に影響を与えるからです。
退去立会い後は、現地キーボックスにカギを入れておくことで、賃貸仲介業者さんや修繕業者さんが現地に行けばすぐに部屋に入れるようにしておきます。
また、退去日に電力会社と契約を開始することで以後の夜間の内見や修繕にも対応できます。
入居者さんの側に立つ≠入居者さんの下に立つ
入居者さんと退去立会い者との立場は対等です。
「上から行く、下から行く」という発想の時点で、戦ってしまっています。
パートナーとして、ちょうど良い落とし所を見つけるのです。
2.退去~募集開始
原状回復工事
- 部屋の状況に応じて見積もりを作成し、オーナー様への工事提案をおこないます
- オーナー様から発注いただき、工事を施工します
工事をどこまでやるか、はその部屋の状況にもよってきます。
長年住まれていた入居者さんが退去したのであれば、「原状回復」を超えた工事が必要になることもありますし、入居から3年程度での退去であれば、クリーニングのみで済んでしまう場合も出てくるでしょう。
お金をかければかけるほど、入居付けがしやすい部屋にはなっていくでしょう。
ただし、我々投資家としては投資した分のリターンは見込めなければなりません。
- 設備投資を行うことで、どの程度賃料に転嫁できるか?
- 逆に、設備投資を行わなかったとすれば、どの程度空室期間が生まれるか?
これら双方の観点で着地点を見つけていくことになります。
募集準備
- 募集条件調査(周辺賃料相場調査、賃貸仲介業者さんヒアリング)をかけます
- オーナー様に募集条件提案をおこないます
- オーナー様に募集条件を承諾いただき、募集図面(マイソク)を作成します
- 工事完了後、募集用写真を撮影し、賃貸仲介業者様との共有フォルダにアップロードします
- 募集を開始します
部屋という商品の開発がハード面とすれば、募集条件の設定はソフト面です。
ハード/ソフトが両輪で噛み合って回っていかないと、なかなか成約には至りません。
あるいは、入居者さん/賃貸仲介さん、どちらかに視点が偏っていても苦戦します。
特に、初心者の方は入居者さんに視点が偏っていて、賃貸仲介さんの視点をつい見失いがちです。
賃貸仲介業者さん目線でも「積極的に客付けしたい部屋や条件」を整えることが大切です。
3.募集開始~入居申込み
- 募集を賃貸仲介業者さんに幅広く周知
- 案内状況を賃貸仲介さんにヒアリング
- 改善策をオーナー様に提案
- 部屋や条件を改善して再度募集
募集フェーズにあたっては、幅広く多くの賃貸仲介業者さんに周知することが大切です。
基本的に、特定の賃貸仲介業者さん数社しか紹介できない状況を作ってはいけません。
入居者さんがどの賃貸仲介業者さんに行っても、当社の管理物件をご紹介いただける状況を作ることで、入居付けのチャンスを最大化することができます。
入居申込みが入るまでPDCAを回していきます。
PDCAを回す速さはエリアによって異なりますが、流動性が高い都市部であれば2週間、流動性が低い地方都市では2ヶ月~3ヶ月が目安になるでしょう。
4.入居申込み~入居
- 入居申込書の内容をもとに入居審査
- 賃貸仲介業者さんに入居初期費用の精算書を送付
- オーナー様へ入居者提案
- オーナー様の入居承諾を得て、賃貸借契約書類(重説、入居者保険、口振依頼書等含む)を作成
- 入居する部屋のカギを交換
- 賃貸仲介業者様へ書類、新カギの持ち込み、郵送
- 初期費用入金の確認
当社では原則、連帯保証人を必須としています。
(どうしても付けられない場合のみ、保証会社に加入していただいています)
連帯保証人の有無に関わらず保証会社を必須としている管理会社も増えていますが、当社の経験上、連帯保証人がいる中での滞納率は極めて低いです。
そもそも、善良な入居者さんが悪意のある他の入居者の費用を負担するのはおかしな話ですしね。
また、カギ交換も原則必須としております。
一度入居者さんの手に渡ったカギは、たとえ退去時に全て返していただいたとしても、前入居者さんが合鍵を所持しているリスクがあるためです。
仲介手数料は賃貸仲介業者さん側ですべて取っていただく一方で、賃貸借契約書類は当社(管理会社側)で作成しています。
入居中の不要なトラブルを防ぐため、当社書式にて契約内容を担保するとともに、賃貸仲介業者さんの事務負担を減らし、賃貸仲介業者さんがより紹介しやすい体制を作っています。
5.入居中
- クレーム対応
- 入金チェック
- 督促
- オーナー様送金
毎月の定型業務としては、入金チェックとオーナー様送金です。
入居者様が特に問題を起こさない限り、あるいは建物・部屋の設備にトラブルが発生しない限り、我々管理会社や不動産投資家は平穏な日々を送れます。
万が一滞納が発生した場合には、初動が大切です。
放置してしまうと、金額が膨らみ回収できる可能性が低下していきます。
あまりに長期化する場合には、専門家と組んで訴訟等を含めた対応が必要になってきます。
管理戸数が増えると、全体のうちほんの一部の悪質な入居者の対応にかなりの工数を取られることとなります。
特に、騒音問題等のソフト面でのクレームは長期化する傾向にあります。
問題の解決のためには顔を合わせて直接お話ししたり、夜間に直接足を運ぶことも必要でしょう。
退去立会いと同様に、ここでも入居者様の感情面での納得感が大切です。
建物全体のBM業務
ここまではある一つの部屋に注目してフェーズ別に業務をみてきましたが、建物全体の管理に関わる業務というのもあります。
これをBM(ビルメンテナンス)業務と言います。
BM業務の例
- 共用部の定期清掃
- 消防設備の点検、報告
- 外壁塗装等の大規模修繕の提案、実施
- 共用部に放置された残置物の撤去
- 融雪設備の調整
当社ではスポットで発生する「大規模修繕の提案、実施」と「共用部の残置物撤去」は管理業務の範囲内とし、定期的に発生する業務については別途見積もりとしています。
物件の規模によっても費用が異なってくるためです。
ただ、最低限のレベルはもちろんありますが、BM業務はあまり力を入れすぎても稼働率にさほど影響しません。
コスパ重視で、完璧を求めすぎないくらいの意識でいた方が良いでしょう。
さいごに
ざっとですが、これが賃貸管理業の全体像です。
想像通りでしたか?
それとも意外といろいろやってるんだな、と感じたでしょうか。
管理会社が「何を、どのように、どこまでやってくれるのか」は管理会社によってマチマチです。
ですから、管理委託契約を検討する際には、今回みてきた業務ごとに細かく確認する必要があります。
ぜひいろいろな管理会社に話を聞いてみてください。
業者さんによって賃貸管理に関するポリシーや姿勢が異なっていたり、業務の範囲が異なっていたり、何も考えていなかったりする(笑)ことに気付くでしょう。
余談ですが、
「賃貸管理業は下請け業ではなく、オーナー代理業であるべき」
だと私は思っています。
ここまで見てきたとおり、賃貸管理業にはそこまで専門性が高い業務はありません。
やろうと思って時間さえあれば誰でもできるし、オーナーさんから言われたことをただこなしていても仕事にはなるんですよ。
現に、世の中にはそういう管理会社もいっぱいあります。
(当事者は自覚ないかもしれませんけどね)
管理会社である我々は、「もし自身がオーナーだったら」という視点を常に持ち続けなければならないと思っています。
その視点からしか、的を射た提案は出てこないと思うからです。
新潟県内の物件でしたら、当社がお力になれますのでぜひお気軽にご相談下さい。